みなさんこんにちは、中今〇ノ丞です。
今回は、最後の宮大工と言われた「西岡常一」さんの著書
「宮大工棟梁・西岡常一 口伝の重み」
をご紹介いたします。
私は仕事で金属加工をしている職人なので、仕事柄よく職人の方の
本を読むことが多いです。
いわゆる職人というと、ただ黙々とモノづくりに没頭していればいい、と考え
がちですが、ものづくりに関しては技術はもちろんのことですが、よく武道
で使われる「心・技・体」にあるように、技だけではなくて、心も体もきちんと
コントロールできるようにならないといけません。
そのために、他の分野の素晴らしい人の本を読んで勉強するわけですが、
その中でも西岡常一さんは特に有名でして、しかも宮大工という寺社を
扱うわけですので日本の伝統文化も絡んでいて、大変参考になります。
それでは早速内容に入りましょう。
代々続く宮大工の家に生まれた西岡さん。
祖父から将来宮大工になるよう目をつけられていて、その祖父から
小学校を卒業したら農学校へ行け、と言われる。
「人間も木も草も、みんな土から育つんや。宮大工はまず土のことを
学んで、土をよく知らんといかん。土を知ってはじめて、そこから
育った木のことがわかるのや」
ー なんでこないなことせなあかんのや ー
とシブシブ農学校に通学するはめに。
しかし、最初は勉強に身が入らなかったものの、そのうち祖父が
農学校に進学させた意図が明らかになっていく。
それは「土の命」を知ることにあった、と。
さらに、農学校の校長からこう言われた。
『君達は農業経済学というものを習うてるやろ。そこには「最小の労力を
もって、最大の結果を得る」それが原則や、と書いてある。しかし・・・』
『我々日本の"農人"はそうであってはならない。自分一人の働きで、
何人の人を養えるか。これが根本や』
ー この校長に背骨をいれられた - と西岡さん。
さて私達の仕事においても、過去の経験した仕事が後になって、どこかで役に
立っていた、なんていうことは、振り返ってみるとあることに気づきます。
まったく関係ないように見えて、どこかでつながっている・・・
人生の不可思議なところというか、どこまでも深いというか・・・
つづく