みなさんこんにちは、中今〇ノ丞です。
「二宮翁夜話」の7回目になります。
引き続き文語体のややムズカシイ文章になりますが、そのまま書いてみます。
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「翁曰世界の中、法則とすべき物は、天地の道と、親子の道、夫婦の道と
農業の道との四つなり、此(これの)道はは誠に、兩(りょう)全完全の
物なり、百事此四つを法とすれば誤(あやまち)ちなし、予が歌に
「おのが子を恵み心を法(のり)とせば学ばずとても道に至らん」
とよめるは此心なり、夫天は生々の徳を下し、地は之(これ)を受けて
発生し、親は子を育して、損益を忘れ混(ひたす)ら成長を楽み、
子は育せられて、父母は慕う、夫婦の間、叉相互に相楽んで、子孫
相續す」
〇ノ丞:尊徳翁の説かれる道は何も難しいことはありませんね。
誰しもが経験し、知っていることをただ説かれています。
難しい書物や経文を知らなくとも、無学の人であってもなくても、
天地・親子・夫婦・農業の道はごく身近にある自然から学ぶことが
できます。
また、続けて尊徳翁は『商法』についても言及されています。
「商法は、賣(う)って悦び買て悦ぶ様にすべし、賣って悦び買って
喜ばざるは、道にあらず、買って悦び、賣って悦ばざるも道にあらず、
貸借の道も亦(また)同じ、借て喜び、貸て喜ぶようにすべし」
さらに
「故(ゆえ)に天地生々の心を心とし、親子と夫婦との情に基づき損益を
度外に置き」
「夫無利息貸付の道は、元金の増加するを徳とせず、貸付高の増加するを
徳とするなり、是利を以(もっ)て利とせず、義を以て利とするの意なり、
元金の増加を喜ぶは利心なり、貸付高の増加を喜ぶは善心なり」
〇ノ丞:要は自分個人の利益を貪るな、そして自分の損害になることが
わかっていて、あえて相手のためとかいって無理に売買をするな、
そういうやり方はいずれ相互のズレができて続かないよ、ということ
でしょうか。
商売でも、そのような姑息なやり方はすぐ相手に見抜かれてしまします。
日頃の人間関係と何も変わらないですね?
実際、二宮尊徳翁はお金がなくて困っている人達にたいして「無利息
貸付金」といって、金利を一切つけずにお金を貸して、返す時も
元金をただ返せばよい、ということを実践された方でした。
自分も相手も心は同じ。商売とはいえ結局は人と人とのやり取りなの
だから、こちら側が卑下することもないし、相手をだまくらかして利益を
貪る必要もない。
ただお互いに良くなり、心に喜びのある状況が望ましい。
商売一つとってもお互いの信頼関係が大事だと、尊徳翁は教えておられると
いうことでしょう。
二宮尊徳翁の説かれる商法であれば、良い循環が続き、売る側買う側
ともに幸せになる。
物のやりとりだけ見るのではなく、
心がどうなのか?
そこを問うておられるように感じます。