(出典:国史絵画)
みなさんこんにちは、中今〇ノ丞です。
神武天皇が故郷の日向を出発して、近畿地方の大和にて最初の天皇
として即位するまでの物語の5回目です。
<前回の続きから>
日向の美々津港を出発して、伊波礼比古命(神武天皇)も一行は東へ東へと
すすみました。潮の流れの速い早吸灘(はやすいなだ)でどの船も波にもて
あそばれて、前にすすめなくなりました。
難儀しているところに亀の背にのって、ゆらりゆらりと揺れながら釣りを
していた者が、伊波礼比古命の船に手をあげて、大声で何か叫んでいます。
船の近くに呼び寄せて
「あなたは何者ですか」
と、たずねました。
「私は国神(くにつかみ)の宇豆比古(うずびこ)です」
「では、あなたは道にくわしいか」
「はい、よく知っています。よくお仕えしますから、お供に加えて下さい」
と申します。
命(みこと)のけらいたちは、 宇豆比古に船をこぐ椎(しい)の木で
つくったさおおをのばしてやりました。
宇豆比古はさおにつかまり、命の船にのりうつりました。
船団は宇豆比古の水先案内で、早吸灘をぬけだすことができました。
伊波礼古命は宇豆比古に槁根津日子(さおねつひこ)の名をあたえました。
船は無事に宇沙(現在の宇佐市)の、現在、柁鼻神社(かじはなじんじゃ)
があるところから上陸することができました。
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宇沙の宇沙都比古(うさつひこ)と宇沙都比古(うさ宇沙都比古つひめ)は、
尊いお方が東行の途中に宇沙でお休みになる、ありがたいことだと多くの宇沙の
人々をさそいお出迎えしました。
宇沙都比古、宇沙都比古は今、大分県宇佐市の宇佐神宮のぼりの宮に祀られて
います。
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(出典:「歴史人」より」